by Minoru IKEDA
Transsexualsのなかで,ホルモン療法を受けている方は,治療を引き受けてくれる医療機関を個人で探されているようですが,この分野での医療機関同士の横のつながりがないため,適切なホルモンの量や副作用といった点での情報が不足しています。
Transsexualsに関連したHPでは,ホルモン療法経験者からの情報を得られるところがあります。しかし,副作用の中には,定期的な検査をして,発症を予防すべき重大なものがあります。
このページでは,ホルモンの量と副作用に関するアメリカの医学論文をご紹介します。
Arch. Sex. Behav. 10 : 347-355,1981.
精巣摘除術を受けていないmale-to-female transsexualsの方々に女性ホルモンの内服治療を行い,最低3か月(多くは6か月以上)経過後の身体測定と血液検査の結果を比較した。女性ホルモンは,結合型エストロゲン(プレマリン)1日1.25〜5.0mg,またはエチニルエストラジオール(プロセキソール)1日0.1〜0.5mgの内服。身体測定は,仰臥位にて乳頭を横切る面での乳房の半円周の長さと精巣の体積を測定し,血液検査は,testosterone(男性ホルモン),LH(黄体形成ホルモン),FSH(卵胞刺激ホルモン)を測定した。
1 乳房は女性ホルモン内服で全員発育した。その程度は,女性ホルモンの用量が増えるほど大きかった。エチニルエストラジオール0.5mgと結合型エストロゲン5.0mgでの効果は同等のようだった。
2 精巣の大きさは,エチニルエストラジオール0.5mg,または,結合型エストロゲン2.5mg以上で,およそ50%に減少した。
3 結合型エストロゲン5.0mgでtestosteroneは約50%低下したが,女性のレベルまでは低下しなかった。LH,FSHの低下は有意ではなかった。一方,エチニルエストラジオールでは,testosteroneは女性のレベルまで,また,LH,FSHは思春期前のレベルまで低下した。
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エチニルエストラジオール0.1mg |
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エチニルエストラジオール0.5mg |
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以上の結果から,エチニルエストラジオール0.1mgの服用は,testosteroneやLHの抑制においては,結合型エストロゲン5.0mgの服用より,効果的であり,乳房の発育の面からは,結合型エストロゲン2.5mgと似たような効果が期待できる。
卵巣摘除術を受けていないfemale-to-male transsexualsの方々に男性ホルモンによる治療を行い,最低3か月(多くは6か月以上)経過後の身体測定と血液検査の結果を比較した。男性ホルモンは,testosterone
cypionate (デポテストステロン)を月200mg筋肉注射からはじめ,3か月毎の採血の結果で増量した。身体測定は,仰臥位にて乳頭を横切る面での乳房の半円周の長さとクリトリスの長さを測定し,血液検査は,LH(黄体形成ホルモン),FSH(卵胞刺激ホルモン)を測定した。
1 testosterone cypionate 400mg/月の使用では,治療前に比べ,体重の変化はなかったが,筋肉の増加がみられ,乳房に縮小がみられた。
2 testosterone cypionate 200mgを2週毎使用して,生理が消失した。
3 クリトリスの長さは延長したが,最大4cm未満だった。testosterone cypionateを800mgや1600mgに増加しても,それ以上長くはならなかった。
4 陰毛の発育は印象的だった。
5 testosteroneの量を増やしても,血清エストラジオールやFSHの抑制はほとんどみられなかったが,LHは,思春期前のレベルまで低下した。
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以上の結果から,testosterone cypionate 400mg/月(2週毎200mgの筋肉注射)が必要かつ適量で,それ以上用量を増やしても,さらなる効果は期待できない。