男性更年期障害
いくつになっても、そして、それなりに
射精現象(精液が射出すること)が起こるためには、テストステロン(精巣から分泌される男性ホルモン)により前立腺や精嚢が正常に発育し、かつ、それらの働きが維持されていることが必要です。前立腺や精嚢の分泌能はテストステロンに依存していますし、精子を造るためにもテストステロンが必要です。また、脳や脊髄の勃起や射精中枢にテストステロンが作用して、それらの発現を可能にしています。
テストステロンは思春期に急増し、20代前半でピークを迎えた後は低下します。女性の閉経期におけるエストロゲン(女性ホルモン)の急激な変化と異なり、それは緩徐で個人差の大きい変化です。仮にテストステロンの値だけを比べて、それが高いからといって性欲や勃起能、自慰や性交による射精回数などの性的能力が他者より勝っていると言うことはできません。しかし、個人のライフサイクルからみるとテストステロンが低下するように性的能力も加齢とともに低下していきます。若いときと比べて速く走れなかったり、疲れやすくなったり、また、その回復に時間がかかったりする身体的変化と同じように、性的能力にも変化が現れますし、ときには疲れてうまくいかないこともでてきます。精力だって疲れます。それが生理的変化なのです。
ただ,低下すると言ってもテストステロンはある程度の量が保たれています。70代男性の50%以上が異性に興味を持ち、15%が性行為を伴う愛情関係を求めているという調査結果がありますし、70代で子供をもうけた艶福家の話も聞かれます(精子を造る能力も保たれています)。いくつになっても、そして、若いときと比較しても仕方がないので、その時々にそれなりにです。
弱音を吐いてみませんか
テストステロン(精巣から分泌される男性ホルモン)が低下することによって、女性の更年期障害と同じような症状が起こり、それに苦しんでいる男性がいることが明らかになり、男性更年期として注目されるようになっています。とくに中年期から初老期にかけては、体力や活力の衰えを自覚するのと反比例して家庭や職場での責任が増加し、このストレスから、ほてりや不眠、うつ状態、性欲低下や勃起障害などの症状が起こりやすくなります。
男だから弱みを見せられないと思っている人、更年期障害やうつ病と診断されることで人生に敗北したと感じる人がおり、いよいよ重症化して医療機関を受診される場合が多いようです。男性にも更年期があり、症状は体や心の悲鳴です。男だからとやせ我慢せず、時には弱音を吐きましょう。そして、必要な場合は薬剤内服やホルモン治療を受けましょう。
男性更年期の診断と治療
一般的な男性更年期障害の診断は、加齢男性症状調査表(AMSスコア)に基づく問診とテストステロン値の血液検査、超音波検査による精巣や前立腺の大きさ測定などの結果を総合的に判断して行います。
テストステロンの減少は、男性更年期障害の引き金となるだけではなく、ED(勃起障害)や生活習慣病のリスクファクターにもなりますので、まず、適度な運動、そして、栄養バランスの取れた食事、睡眠、リラックスなどによって、テストステロンが増えるように心がけることが大切です。しかし、それでもテストステロンが低下したままの場合にはホルモン補充療法を行います。
人生の実りの時を迎えた男性が有意義で充実した毎日を送るためには、AMSスコアによるセルフチェックを行い、ご心配なときにはテストステロンの測定を受けて下さい。

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